『殺人!』と『マリー』
ヒッチコックの『殺人!』と『マリー』を見ました。
1930年のトーキー映画です。
内容は推理モノ。
殺人事件の裁判に陪審員として参加した主人公サー・ジョンは、被告と一度だけ面識があった。その縁もあって、一度は有罪に票を投じてしまうが、あるものをきっかけにして無罪を信じて自ら捜査をすすめる。辿り着いた果てにサー・ジョンが見たものとは…。
ドイツ語版も後日公開!
そのドイツ語版が『マリー』です。
セルフリメイクが大好物なので、じっくりと見ちゃいました。
少々の映像の使い回しはありますが、全てドイツ版用に新にキャストを揃えての作品です。
しかしながら、驚くほどにオリジナルにそっくりでした。
構図がずっとおなじなのです。
不思議な作品でした。
1:なぜドイツ語版を撮ったのか
まったくわかりませんね。
こういうことってヨーロッパでは珍しくないんでしょうか。
この他にドイツ語版とフランス語版が存在する映画なんてのは1作しか聞いたことありません。
やっぱ吹き替えるか字幕にするかしますよね。
舞台はオリジナル通り、イギリスなんですよ。
裁判シーンでは関係者があのハイドンみたいなかつらをかぶってて、
更には映画に出てくる「楽屋口」という文字が英語のままだったりして、
なんで舞台をドイツに変更しなかったのか不思議。
2:なぜ新作でなくリメイクなのか
『殺人!』の評判が良かったからなんですかね。舞台の再演みたいな感じなんでしょうか。
続けて見た所為で、リメイクはつまんなかったです。
3:なぜ吹き替えではないのか
吹き替えってものが1930年に存在してなかったんですかね。
だとしたら字幕にできそうなもんですがね。
4:なぜドイツ語版が一作しかないのか
この直後にナチス・ドイツが政権を撮ったからでしょうか。
ヒッチコックは40年くらいに渡米しますが、ユダヤ人なんでしょうか。
ナボコフと同じタイミングでアメリカに行ってますね。
5:変更点の意味は?
本筋に関係のないところは撮られてませんでしたね。
貸間ありの札とか。
でも、舞台監督が頭を引っ込めるときに頭をぶつけるところはオリジナルにはなかった。
6:何故作品を20分ほど短くしたか
これは、上映の際にバシバシと勝手に切られたのかもしれないので、なんともですね。
しかし、オリジナルとエンディングが厳密には違ってて、それが単に切ったんでなくて面会シーンのやりとりが一部カットなのに対応してました。
はっきり言って、見るとしたら『殺人!』だけで十分です。
物好きさんは『まりー』まで見て、不思議な気持ちになりましょう。