豚で言うなら丸焼き。
『双蝶々曲輪日記』を見てきました。
歌舞伎です。
普段はブツ切りのを、今回はフルバージョンで。
豚で言うなら丸焼き。
ストーリーは、
遊女に惚れた男がいるが、
男には恋敵がいて、
男が贔屓にしてる相撲取りが恋敵を殺してしまい、
男が検挙する仕事につくが逮捕せずに逃がす、
という話。
双蝶々という言葉は、相撲取りの名前に由来しています。
相撲取りは二人出てきて、長吉と長五郎。
長が二人なので双蝶々ということらしいんだけど、
そのわりに相撲取り同士のちゃんこ系人情話とかではない。
相撲取りは恋をせず、するのは喧嘩と殺しと逃亡。
遊女とマブなのは男であって、しかもこの人は実は立派な出自(貴種流離譚か?)。
名前が題に用いられているにも関わらず、
メイン相撲取りは一人だけ。
なのに双蝶々って題でええんかいなと思ってしまいました。
今回は国立劇場でした。
しかも今回は一階。
と言っても一番安い席ですが、花道のシーンがばっちり見られて良かったです。
ただ、安い分端っこのせいか、声が届きにくいこと多かったです。
ただでさえ何言ってるか分からないのに、
それが聞き取りにくいだなんて、
能の謡じゃねえんだぞと。
先月見た「たぬき」は新作なだけあって台詞がよくわかったんですが、
今回のは言葉が古く、わからんことも一度や二度ではありませんでした。
着物で観劇してるような奥様方はちゃあんと理解してるんでしょうか。
すげえなあ。
上演台本が売ってるというのはとても嬉しいですね。
ああ、わかんねえわけだわと納得できる嬉しさよ。
新清水の場は演出がとってもかっこよかったんですが、
有名だというシーンはあまりという感じでした。
しかし、安くて一階で良かった良かった。
行ったこと無いところに行くというのは面白いもんですね。
度胸がないもんで、だいたいいつも行くところに通う習性があるんですが、
ミーハーするのも楽しいです。
次は歌舞伎座の『伊勢音頭恋寝刃』と『菅原伝授手習鑑』と『鰯売戀曳網』に行きたいところ。
『伊勢音頭恋寝刃』ってどうかしてるストーリーですよね。
遊女に振られたので店の者を殺しまくるっていう。
『復讐するは我にあり』かと。
「ふられ無双」みたいなことなんですかね。
台詞がわからなくて困ったので上演台本を買って読むのはおすすめです。
それとはべつにパンフレットもあって、
そっちは各場のあらすじとか見所とか成立事情とか著名人のエッセイとかが載ってるわけですが、
そうなるとあらすじの確認のために舞台をみてることになるんじゃないかと。
初めて観る舞台なのに、確認作業みたいになる本末転倒ではないかと。
かと言って、まったく知らないで見ると何が起こってるのか分からずに難儀しますが。
そこで、予め上演台本を読んでから観ることにすれば、いいじゃないかしらと思うんですが、
開幕前に入手できないときは大変ですよね。
やっぱり回数通うしかないんすかね。