2つの舞台を見てきました。

友達の舞台を見てきました。

一日に2つ。

 

1:

こっちは、有料。

友人一人に限っては一年と少しの演劇歴で、

劇団は設立して半年くらい。

ちなみにお値段は3000円でした。

末廣亭で12時から21時までいられる時間と同じ値段と思ってしまうけど、

友人の舞台だからなあと義理堅い。

でもさ、正直に言って、舞台やるからきてって言ったとしてもその友人は忙しいって言って来ないだろうね。

そう思いながらお金を払いましたって書くとイヤイヤですね。

そうでもないんですけどね。

どんなもんかいなという物見遊山感覚での観劇。

 

面白くなかったです。

楽しめませんでした。

ただ、つまらないと積極的に言えないところがまだマシかなと。

面白くはないです。やっぱり。

たのしかったー!とはなりません。

だから誰にも勧めません。

でも、友人が出るからって見るのってそんなもんでしょ。

 

何故面白くなかったかといえば、

第一にはどうしたって脚本です。

気負いすぎて奇を衒ってて、観客を煙に巻く気がぷんぷんで、クサくて。

しかも、ストーリーがない。

ストーリーがないってことは、設定の説明だけ。

しかも奇を衒ってるので、説明はしっかりとされません。

「あとの受け取り方は、受け取る人それぞれ」みたいな放り投げ。

 

説明書を印刷して、束を放り投げたあとで適当にかき集めたら、

順番はめちゃくちゃだし、抜け落ちてるし、何か違うのっぽいのも入ってるし、あれ?同じとこ2部印刷した?みたいな。

 

設定はいいからはやく始めろよ!と思ってる間に終わりました。

サウンドはできたんだけどメロディがないみたいな感じですかね。

いや、それも、特別よくできた設定でだから早く本編が見たい!ってことでもないんですよ。

抜け落ちてるなりにわかったからいい加減はやくしろよっていう。

 

設定はできたとしても残念ながらその設定で、物語が生まれる気配がないんですよね。

誰かが出て行くとか、戦うとか、危機が迫るとか、そういうのがなくて、

誰も新しくコミュニティに入ってこないし、

そもそも主人公らしき人もいないし。

変な設定を回りくどく説明しただけ。

 

例えば『アリエッティ』なら、

小人が住む家に少年がやってきて、「人間に見つかったまま共存してはいけない」って縛りがあるから、

(いろいろあって、どちらかが出ていくんだろうな)という予感が読者に生まれて話が動き出すじゃないですか。

と言ってもアリエッティは結局それに沿って終わっちゃうんだけど。

サマーウォーズ』だと、電脳世界にウィルスが出てきて、天才少年が立ち向かうまでが設定で、

子供が邪魔して太刀打ちできなくなって、さてどうするってときに先輩の一族の助けが何段階かであるじゃないですか。

それで終わりに向かって、ウィルスやら一族会やらとしてばら撒いたものをイチイチ回収してくじゃないですか。

 

うーん、ってことはストーリーがないんだから、詩みたいなもんだったのかしら。

詩というほど、鮮烈なイメージは感じられませんでした。

独自の世界というよりは、藤子不二雄がSF短編集で箱男を主人公にした『20世紀少年』の設定を描いた、みたいな感じ。

詩っぽい台詞はあるにはあるんですが、

ベタで、ありもの寄せ集めて、恥ずかしくしたようなのになってました。

 

物語を牽引するには謎が必要だと思うんですが、

もしかしたら用意されてた謎が、単なる説明不足にしか見えなかったということでしょうか。

 

主題らしい主題もよくわかりませんでした。

「みんな仲良くしよう」ってことでいいのかしら。

まさかそんなことなわけないよな。

 

良かったところも挙げると、

女優さんが一人だけ、美人で、オーラがあって、声量があって滑舌が良くて表情に富んでて標準語のアクセントが自然で、立ち姿が美しかったです。

気品があるとでも言いたくなるような。

むしろ一人だけ良すぎて、しかもそれが半端な役だったために全体のバランスが崩れてました。

あれだけちゃんとしてるならもっと話の中心に据えてたらって、話らしい話はないんだけど。

お金払っといておかしな感想だけど、

その人だけ、「わ、プロだ!」と思いました。

あとは、いっちゃあ何だけど、学芸会。

 

セリフをトチる(練習しろ)、

トチって頬を叩く(コントかよ)、

セリフが棒読み、

見た目に美しくない、

違う役なのに同じ演技されて混乱する、

姿勢が悪い、

声が出てない、などなど。

 

生で見る舞台で求めるものって見世物小屋と同じだと思うんですよ。

何か凄いもの、非日常が見たいと思うし、それを目にするとゾクゾクするわけですよ。

その非日常をストレートに出すと蛇の尾頭食いとか、蝋燭の火を口で消すとかですよ。

で、芸にするとサーカスで、それに物語がついて芝居でしょう。ざっくり。

歌舞伎見てるときに一番何に興奮するってあの声ですよ。

七之助海老蔵も、たぬきのおじさんも、あの声でもう、バスマット引いとかないとってくらいにビショビショですわ。

体つきもね。

均整が美しいし、立ち姿の凛々しさにうっとりしたいじゃないですか。

 

姿勢が悪くて声が出てなくて台詞覚えてなくて、

いくら待っても物語が始まらないなんて、

散々だ。

 

友人の演技は、覚えた台詞を舞台で発声してるというふうに見えました。

普段どう喋ってるか知ってるからこそ、あんな抑揚のない喋り方はしないし、

もっと声は低いし、

さすがに感情がこもった言い方をするし、

覚えたのを言うだけでいっぱいいっぱいなんかなと、

まるでボーカロイドが喋ってるかのような一本調子でした。

上ずっているとでも言うのかしらアノ声は。

あんまりにも演技してます印の声だったので、演出だったのかもしれません。

 

友人から、演技に悩んでいると聞いていた人は全くそんな風に見えず、

わざとらしくなくて自然で、それっぽい人に見えてました。

 

そうそう、笑わせようとしてるんじゃないかなというところがいくつかあったんですが、

クスリとも反応はおきてませんでした。

(あー、笑わせようとしてるんだろうな)とまでは気づくんですが、

おかしくないんですね。

掛け合いの際の間が悪かったのもあるんですが、

なんで笑えなかったのか不思議です。

思うに、笑っていいのかおかしな役なのか判断つきかねて、笑えなかったのではないでしょうか。

ギャグっぽいんだけど、これくらいのことなら本気で言いかねない役だもんなと思うと、笑ったら失礼になるから止そうという意識が働いたのではないかしら。

役者の顔もマジだし、これは笑ってよくないところだと気を使ったんではなかろうか。

それらを振り切るほどのおかしさはありませんでした。

「笑っていいんです」という空気作りがあって初めて笑うんじゃないすかね。

「おかしいことを言います」という暗黙のサインが出ているから落語は笑えるんじゃないでしょうか。

前座とか二つ目のを見てると、同じ時があります。

くすぐりだってわかるんだけど、マジでこういうこと言う奴いるよなって思うとき。

面白おかしく聞こえない、こいつ(噺の中の人)ふざけてない、本気で言ってる、目がマジだと思うとき。

真打ちの場合におかしいのは、おかしいことだってわかってて言ってんですよ、だから笑っていいんですよという空気を作ってるからでしょうかね。

佇まいやら声の落ち着き加減に、笑っていいともというサインを感じ取るんですかね。

気狂いの妄言とかでは笑えないものね。少なくとも、常識があったら笑わないようにするわな。

オーバーアクションがおかしいのは、あまりに大げさで、どう考えてもわざとだとわかるから笑えるんですかね。

音楽が前提として沈黙を必要とするように、笑いにも前提として常識が必要なんですかね。

いずれにせよ、笑いをとるのにも失敗してました。

 

面白くなかった、楽しめなかったことをまとめると、

1ストーリーが始まらない

2役者が下手

3笑えない

ということになります。

次の舞台ではこの3点がどうなろうと、

楽しめればいいです。

むしろ、文句はあるけどむちゃくちゃ楽しい方がきっと嬉しいです。

 

 

2:

大学生の友達です。

サークルの演劇で、こちらはタダ!無料!

正確にはカンパ制。

こちらはけっこうよかったです。

 

先にネチネチと書いた割に、こっちはあんまりネチネチ書きません。

そりゃ勿論ないことはないけれど、

楽しくやっとるねえ!という、見てて楽しくなる感じが先立ちます。

そんなワイワイってばかりの話でもないんですが。

 

見てて、

どう立つかって大事なんだなーと気付かされました。

印象が大きく違ってきますね。

あと、緩急の付け方も大事ね。コミカルにせよシリアスにせよ、舞台らしくちょっとは大仰だと見やすそう。

怒鳴る台詞も、その前からずっと大きい声を出しっぱなしじゃあ差がつかないから、

下品なやつ、としか思われませんね。

あと、声の出し方も、腹式呼吸で出すってことなんですかね、

喉が枯れそうになってるわりにはあまり届いてない人と、

小声風なのによく通る人がいました。

喋り方の癖って人それぞれありますから、標準語を正しく喋るのも難しそうですね。

 

ストーリー展開で気になったのが、

趣向が面白いのに、オチが陳腐なのは勿体無かったです。

 

しかしながら、大学生の演劇サークルを見るのは楽しいので、問題ないです。

 

文句ばかりですが、こう見てると芝居やってみたくなりますね。

役者か脚本か演出をやってみたくなります。

大道具とか証明とか音響と思わないのは、単にその世界を知らないからです。