そこそこでした。

ネットで名作として挙げられて且つツタヤに置いてない映画として私的に名高く憧ればかりが募る作品に『ローゼンクランツとギルデスターンは死んだ』と『ボギー!俺も男だ』がありますが、今思い出せないだけできっと他にもある。

ゴダールの映画なんかそうね。映画のほうの『映画史』とか本の方の『映画史』に引き合いに出されてる映画とか、無いよね。

ウォン・カーウァイの『ブエノスアイレス』もその片思いというか、恋に恋するみたいな作品の一つだったんですが、他の作品とちがってもっとひどいことにツタヤにメイキング作品だけ置いてあんのよ。『ブエノスアイレス 摂氏零度』ってやつ。悔しいから絶対に後に見ようと思ってたわけ。

で、なななんと遂に憧れの『ブエノスアイレス』本編を見つけたわけですよ。ツタヤで。悔しいことに準新作で、ちょっこし(遠藤京子)高いんだけど、そこはもうぐっと涙をこらえて唇噛んで歯ぎしりして前向いて涙こぼしながら、借りてみたよ。その感想。

ブエノスアイレスに滝を見に来たゲイカップルが、旅先で破局して片方(トニー・レオン)はお金なくて帰れなくなって、仕方なく働き始めたらそこに元彼が白人の新しい彼とやってきて、いろいろあって腐れ縁でモトサヤになるも、元彼はまたしても他の男と遊んで、そのくせトニーの新しい職場の同僚に嫉妬して、結局ブロークアップして、その同僚は台北からの旅行者なんだけど金がなくなって中華料理屋でバイトしてて、旅行資金が貯まったからってブエノスアイレスがある南アメリカ大陸の最南端にある岬まで旅行して、トニーも金が貯まったから元彼と行くはずだった滝を見て、香港に帰る前に台北に寄ったら夜店がまさかの同僚の実家で、「会おうと思ったらいつでも会える」と思っておしまい。

何でこの映画が有名なのかはわからないけども、ウォン・カーウァイの映画って有名ですよね。

恋する惑星』なんか特に。恋人ができたら一緒にレンタルビデオ屋で『恋する惑星』を借りて見る。ってのを何かで読んだ気がする。だから有名だとかなんだとか言えるわけではないにせよ。

そんなせいであがってしまった私の『ブエノスアイレス』の感想は、そこそこでした。

もっとあンまいラブストーリーかと思いきや、腐れ縁の話で、男版『アデル』かと言いたくなりました。同性愛ってだけだけども。

「やり直そう」って迫られてほだされる男の恋愛と、撮影事情のために後から足された最南端の岬に行く話からして、テーマは「(出会いと)別れ」でしょう。そこにはぐっと来ず、よかったところは前半のモノクロの映像。ザラザラした画面と緊張感で、森山大道が動画撮ったみたいに見えた。そこはかっこよかった。

カラーになってからはあんまし。

あと、よかったのは、台北のシーン。「会おうと思えばいつでも会える」というポジティブの提示で終わるのは何か良い余韻でした。

で、メイキング且つドキュメンタリーである『摂氏零度』も見たんですよ。

本編に使われなかったシーンのみならず、没になったエピソードまでけっこう長く見られて満足。

本編に出てない女優さんが綺麗で満足。しかし、まるっとカットされるという憂き目にあい、そのせいなのかカットされる人なのか、他の映画にはほとんどでてないのね。

カットされてしまったけれども、話として良いエピソードだと思うので、惜しい

 

まとめると、見たくていたから見られてよかった。モノクロ映像はかっこいい。ストーリーはいまいちでした。