殺し屋の方はあんまし覚えてない。

ウォン・カーウァイ熱が続いてて、『天使の涙』も観ちゃいました。

唖の金城武がオトナになる話と、殺し屋が死ぬ話。

これはもともと『恋する惑星』の一部として構想されてたのに、なんだかんだで別の作品になってしまったものだそうです。村上春樹で言うところの『ねじまき鳥』と『スプートニクの恋人』みたいな関係。

たしかに作り方が一緒で、二つの話が詰め込まれてる。すっかり忘れてたけども、殺し屋の話もあった。殺し屋っていうのかしら。鉄砲玉と言ったほうがいいような殺し方してるから、暴れん坊的な殺し方で、効率悪そう。

殺し屋の方はあんまし覚えてない。

でも、金城武の方は不思議な話でとてもよかった。

恋する惑星』のフェイ・ウォンみたいに勝手に入り込んで、勝手に作業してる。豚にマッサージしてるシーンは可愛い。やれって言われたらグロそうなんだけど(だって豚の死体だから)、食肉に加工されてるからか、それすら可愛くみせる金城武のキュートさの勝ちなのか。

父親のビデオを撮って、それが嬉しそうで、ションベンしてるとこを撮ってタオルでひっぱたかれたりして、むしょーに可愛い金城武

でも親父死んじゃう。それであれ?もう子供じゃないんだって知るっていう、あれ?なんだか最初の吉本ばななっぽくないかこれ。『サンクチュアリ』とか『白河夜船』のあたりまでの、福武文庫がまだあった頃の吉本ばななっぽくないか。

そうでもないのかな。でも、喪失感にぐっときたあたり、私はそのあたりにぐっときてたことがわかる。

花様年華』も見なくちゃ。

『マイブルーベリーナイツ』はもう見てた。あれもウォン・カーウァイ監督作品だったのね。

吉本ばななのあのあたりの小説って小沢健二のとくに「天使たちのシーン」を思い出させるんだけど、『天使の涙』ではオザケンは思い出さなかった。天使つながりだけどね。

 

ウォン・カーウァイ監督作品を続けて見てるけども、それより先にアキ・カウリスマキ監督作品を観たくて借りてた。

小説の場合には評論やら文学史やらばかり読んでて実際の作品に当たることは少なくて、読んでもいない作品ばかり知ってて、小説好きが羨ましかったので、映画を見始めるに当たっては評論やら映画史の本はできるだけ読まないようにしてた。読むのは作品の評論か監督の著作にとどめておこうと。

でもそれだと作品はたくさん見てるわりに繋がりがわからないということになる。別にわかんなくていいんだけどさ。

一冊だけ、映画ガイドみたいなのは持ってて、2007年7月号の月刊プレイボーイについてきた『世界の映画監督250人』は見てる。まあウィキペディアも見ますけどね。

それを読んで初めて知ったんだけど、アキ・カウリスマキって70作以上も作品撮ってるのね。あの『罪と罰』とかの作品て主要映画だったのね。

山田洋次が『久米宏のラジオなんですけど』にゲストで出てて、そこで、すごい監督は寡作だとか言ってて、そんなもんかと思ってはいなかったけど、まあ山田洋次ほどたくさん撮ってる監督も世の中には少ないよなとか思ってたんですけども、ヒッチコックもけっこう撮ってるよねと思ってたら、カウリスマキ!多い。

アンゲロプロスも実は多作だったりして。見てないけどさ。

ウディ・アレンもけっこう多い。今でもじゃんじゃん作ってるし。ウディ・アレンのって三谷幸喜の作品みたいなスカされ方する気がする。面白いよ!って思って観に行くと、「うん、そこそこ」って感じ。期待以上とかではないっていう。『アニー・ホール』は傑作ですけどね。なんか焼き直しというか、求めてる分にぴったり合わせて作ってないか?みたいな。

小津安二郎もサイレントとか含めたらけっこうある。現存してない作品もけっこうある。