しとしとしとととけゆけり

もう一度雪が降る、と思って面倒さに覚悟しながら真っ白い世界に期待していたことを、トイレで本を読みながらふと、ここでエッセイを一篇読むのも久しぶりだなと気づいたときに、網戸を通して外と繋がっている便所でも本が読めるほどに暖かくなって来ているのだと喜ばしく感じながら思い出した。

もう寒くならない。あとは梅が咲いて、雨が降ると湿度が上がって空気が肌に吸いつくように暖かさを実感して、日の光がどんどん明るさを増して緑がいよいよ濃くなると桜がばっと咲く。

春だなあ。

雨の日にトイレに入って、湿度の高い生温い空気の塊にぶつかるのが好き。そこでああ、季節が終わったんだと思うのがいつもだったけども、今年は雪の不在で春の到来を感じました。

春雨にケツを冷やさぬ書斎かな

本を読むケツ冷やすなよ春の雨

春雨に導かれしやおぼろ月