三日に渡る手の込んだ勧誘

久しぶりに知り合いに会ったらマルチ商法のセミナーだった。

 

暫く前に一人旅をしていました。

ふらふらと金と路線と気分とで行き先や滞在期間を決めるという、いい気なもので今以上とのんきだったんだなあと思う。

京都に住んでいた友達の引越しを手伝いに行ったら夜には近くのゲストハウスでのむことになって、

そこでいろんな人と話したりしてゲストハウスってものの面白さを知りました。

それで、ふらふらしてるときは大抵ゲストハウスに泊まってみて、

人と交流することもあれば、殆どないってこともあった。

とっても気があったなあなんて時も結局は旅先の気分の高揚が優先していて、

普段の生活にお互いが戻れば、例え近くに住んでいても会うことはなかった。

それがゲストハウスで知り合う人の流儀だとも思っていた。

そんな中で、数年ぶりに唯一の繋がりであるFBで「あおーよ」と連絡がきた。

おかしい。

と先ずは思った。

私に会いたい人がいるはずがない。

私に会うメリットがある人なんてそうそういない。(私を好いている人しか会いたいと思わない)

誕生日におめでとうと言われない人なら、この反応になるはずです。

(おー、久しぶり^^)なんて、表面上はいくらでも言えても、

本心は何だ、何が目的だとずっと気に病む。

とはいえ、だ。

暇に加えて、久しぶりの連絡に、喜ばなかったわけではない。

実際は三日に渡る手の込んだ勧誘でした。

 

初日は普通に「お茶しようか」と。

今考えると、駅から変に遠い場所での待ち合わせだった。

勿論、東京はどこまでも都会だから、ちょっと駅から離れるくらいで寂れるような怪しさもなくて、

「このへんで働いてたんだー」と言われりゃあ、サイデスカと思う。

別に、特別なカフェがあるわけでもなく、

格別に景色が良いというわけでもない。

今にして思えば、カモにすることにしか向こうは考えてもいなかったのだ。

東京近郊に住んでいるのに不自然に大きなバッグを持っている。

ラクロス部の大学生くらいしかこのサイズでこんなにパンパンじゃないぞと。

今なにしてんのー、無職なんすよのあとの食いつきも不自然だった。

どこが、ふんふん、それで?それから?他には?みたいな。

(それを聞いてどうすんだよ)というような。

食い物にするためだったんだなあ。

それで「じゃあ明日暇?たこやきパーティーやるから来ない?」と言われて

まあ暇だしと参加することにした。

 

タコパもやはり思い返せば不自然極まりないところが複数ありました。

食事を用意する人、電灯のない公園での開催であるために、ずっと照らす人がいたり。

妙に分業されてて、店員かよってくらいに持ち場を離れてなかったんだけど、誰もそれに文句を言わずにいた。

屋外で、しょぼいたこ焼きとカレーとサムギョプサルで2000円だから、

今にして思えばこれはパー券稼ぎみたいな、

彼らの活動資金集めだったのではないかしら。

メニューがガキのおやつじゃねえかよ。

急に「紹介するよ」って言われて、誰かを紹介されて、へらへらと返事してて、

「いいこだね」とか言われて、

また(おかしいぞ)と思った。

こんなに体育会系で、金稼ぎとナオンにしか興味くるくるぱーというようなタイプのマチズモンが私を気に入るはずがない。

これは経験上明らかである。

私が仲良くなれる人は、かなり癖のある人だ。こんな自慢式量産型営業マンには先ず私が心を開かない。

なんかここで、セミナー出てみない?とか言われて、はーいとか言っといた。

考えなしに(いい顔しとけ)と思ってました。

でもさ、やっぱりさ、この種の社会人交流会はもう仕事の話しかしないわけよ。どこまでが狩人でどの参加者がカモなのかはわからねど。

映画とか本なんて1秒も話になくて、

みんなひたすらに、自分はこんな仕事をしていてこんなに価値のある面白い人物で、

だからこんなに人脈もあるんだ、ホラホラ僕と仲良くなりたくなってきたでしょう?FB?ライン?

という感じの人ばっか。

仕事してないから話す内容なくて話さないけども、

仕事あってもこいつらとは絶対に仲良くなりたくない!と後で気づいた。

ああゆときに100パー浮くような人見知りなんですけど、

やっぱ興味がもてないものね。

いくら稼いでんすよとか、

グーグルの人と知り合いでーとか、

もう営業始めちゃってんのね。

ゲロゲロ。

まずいところに来たけれど、前ほどにキツくないなあと思ってました。

こーゆーのに耐えるのも人生だなあって。

 

そして最終日、セミナー当日。

しかしセミナーの内容は聞いてないので知らない(バカ)。

良いんだとか、人生変わるとか、でっっかく稼ぎたいじゃんとか、そんな景気のいいぼやんとした話だけ。

集合場所は、そうです。最初の日のカフェ。

ああ!鴨にはいつもそこを使うのね!

なーんか、カフェ内にはタコパで見たような顔がちらほら。

待ち合わせた知り合いの手には昨日一昨日と同じ、パンパンのバッグ。

よくみると不釣合な派手めの化粧。鴨をひっかける時でありながら、オエライサンに媚びるチャンスでもあるのだ。

そこでしばーらく話をしてて、やっと固有名詞が出て、セミナーの一端が見えるのだけど、

まあググりますよね、マルチって出ますよね、ああ三日かけて結局これかと呆れますよね。

ああ、この人は私を売ったんだ!と気づきました。

あとはまあ、せっかくだから人生経験のために出とくかと、高い授業料払って見学気分で行きました。

会場の狭さにびっくり。

公民館みたいなところ。

聞かされる話は物凄く景気がいいのに、流される映像はそこそこ派手なのに、

こんなチャチなとこ借りて、こ汚いスクリーンに投映して、景気のいい話聞かせるのかよと驚きはべりぬ。

PVみたいなのを見て(こーゆーのを作った制作会社がこの地球のどこかにあるんだろうな)とか感慨深くなったり。

宗教の洗脳みたいな技を使ってくるんだろうなと身構えてたら、

思いの外それっぽい話術じゃなくてびっくり。

うまい話です、ボロいです、だから死ぬ気でカモを捕まえてこい!!という感じ。

観客の反応が大きすぎてどん引き。(※会場「あーっはっはっはっは!!!!」)

見学もするんじゃなかったと後悔。

この笑い方はおべっかだ!と愚鈍な私でも気づくくらいのオーバーリアクション。

ドンのビキですよ。

悪目立ちしないよう、しないように心がけてました。

終わってからそそくさと退散して難を逃れました。

捕まって勧誘されてたら話が長くなるから。

そんな私のマルチ商法勧誘セミナー体験記でした。

 

マルチとかねずみ講って詳しくなくて、

TVで昔のねずみ講特集を見たのと、

映画「さんかく」ってので仕事を辞めた女性に小学校の同級生が誘うって形で怪しく描かれてた(女性はひっかかる)。

いくらうまい話ですって紹介してても、結局は下にさばいたり子を増やしていかない限りは儲けにならないってことが分かり、

ということは自分が参加する時点で誰かを儲けさせてることになり、

それは巡り巡ってさらに上、さらに上を儲けさせることになるのではないか?と思うと、

自分が儲けるために始めることなのに、他人を儲けさせていたら、金が回ってこないよと。

楽してドカンとマニーが欲しいのに、苦労しなくちゃいけないらしく、

大金を得るためには相応の働きがないと行けないらしく、

しかもそれで上の人を儲けさせてるって、

それじゃあ会社組織と一緒じゃないか。

末端構成員としてほそぼそと稼ぐ間に上司や役員が肥えるというのは、

会社と同じではないだろうか。

しかも営業しなくちゃいけないんでしょう。

企業から企業とか、企業から消費者じゃなくて、消費者から消費者の一対一だもん必然的に儲けは微々たるもんでしょうよ。

となると、やっぱり末端で営業して売る人に卸す人がマージンじゃん。

他人を儲けさせるために個人で営業するのかと。

勿論、そんな言い方ではなくて、もっと分かりにくい言い方だったんですけどね。

とはいえおそらく原理はきっとそう。

 

不思議だったのは、東大出てますとか金稼いでますとか、ネームバリューはすごそうな人たちが来てて、

いや、何故知ってるかというとめちゃくちゃに紹介させられるのですよ。

網の目の中に絡めとろうとしてるのね。

無職の私でさえ儲かんねえだろうと思うものに参加する高学歴やら華々しい経歴の方々が不思議でならなかった。

頭良いはずなのに、おかしいと思わんのだろうかと。そういやオウムにもめちゃくちゃ偏差値高いの多かったらしいですね。どうしてそういう人がいたんだろう。こんな人がいるんだから、儲かるってことなんですよ嘘じゃないんですよって言う保証としてサクラに雇われてるんだろうか。そんなバイトしてるヒマ人いるのかしら。

 

金を楽して儲ける方法を知ってて、それを知らせるなんて有り得ない。

金は一応は総量に限りがあるんだから、もしもみんなが儲けたらインフレだかで戦後のドイツやFBでのイイネみたいにトランクいっぱいあっても珈琲一杯になってしまう。

誰かが儲けてたらそのぶんのお金が多くの人に行き渡ってないということじゃないか。

本当に儲けさせたいなら、働かせずにそのままお金をくれと思う。他人を儲けさせて得するってことは、他人を働かせて儲かるってわけだから、雇用契約がなしに働かせてるってことだ。

人の下で働くなら結局サラリーマンと一緒じゃないか。

 

大儲けしてるっていうイメージ映像もストーリーも大分ありきたりに思えた。

大金持ちが買い物なんかで満足するかしら。

あれじゃあせいぜい「贅沢」止まりだ。

大金持ちの豪遊ってもっと狂気があると思う。

車買います、良い家に住みます、美味い物食いますじゃあ、小金持ちだろ。成金。貧乏人の夢でしかない。貧乏時代の呪いを叶えるために知り合いを売るのかしら。

大金持ちがしこたま稼いでたらその金を元手にして会社作るとか、長野の川ごと買うとか投機的なことをしてそうだけどね。

中国にカジノを作るとかしてそこにツアー組んで日本人とかに使わせるとか。

さんざっぱら稼いでそれが規模が大きいといえど、個人の消費で終わっちゃうわけないじゃん。大金持ちはバッグ買うために大金を稼いでるわけじゃないだろ。金があって仕方ないから高いものが買えるんであって。使うために稼いでたらそれは大金持ちではないでしょう。

やっぱ武器工場作るとかするでしょう。

それか、うんと悪いことして金を握らせてもみ消すとかさあ。

ひっでえなあと思ったけども、犬とか猫を生きたままサメの餌にするのを観るっていう欧米だかどっかの金持ちの楽しみがあるらしいじゃないですか。FBでヨクナイネて拡散されてた。古代ローマの貴族がグラディエーターを戦わせてたのはそれと同じようなことでしょうよ。ライオンVS人って。

クスリでラリってる人たちに地雷原のレースをさせるとかが大金持ちの楽しみだと思うの。

もうそんぐらいしか刺激がないでしょうよ金持ちなんて。

あと熊とギャルのセックス観賞とかかしら。食べてるーカマキリみたーい、みたいな。

ことわっておきますが私にはそんな趣味はありません。

西太后とか古代ローマ貴族とか、そーゆーイメージの現代版として考えてるだけです。

政治家との太いパイプもあるんですって方が大金持ちらしくないですか。

残酷、セックス、権力でしょうよ金持ちは。

悪い奴ほどよく眠りますよ。

 

あと、不思議だったのは、鴨にされる私がおだてられなかったこと。

もっといい気分にさせて酔わせないと財布の紐も緩まないと思いました。

あの人はすごい、この人はすごい、あっちに挨拶、こっちに挨拶、人生は夢だロマンだって、

それはそうかもしれないけども、

カモからまきあげるんだからいい気分にさせてくれよと。

珈琲くらいおごってくれと。

てめえが大金持ちになる投資なんだ、安いもんじゃねえか。

シケてショートサイズなんか頼んでんじゃねえよ。

そらね、おだてる要素がなかったとか、ってことかもしれませんよ。

どうにも誉めようが無くて困ってたのかもしれない。

昔、どうにも孤独になったら宗教団体に顔を出すようにして人との繋がりを作ろうと思ったことがあったけども、

この考えは甘いようだわね。

絶対者・真理がイチバーンなんだから、甘やかしてつけあがられてもってことかしらん。

でもバカにされたらいい気分はしないし、されなくても劣等感持ってたら参加しないじゃん。

宗教団体の洗脳テクとして就職斡旋セミナーでも今や使われている「最初はコテンパンに落として、でもお前の本当の良さは知ってるよ^^」っていう王道さえもなかった。

「お前らバカで俺は超金持ち」っていう発表だらけで、

むしろそれで人が食いついていることに驚愕でした。ねずみ講で儲けましたって他人の自慢話聞いて興奮する人がいるなんて。

だから、私を誘った知り合いは、人を見る目が無かったんだと思う。

こんなに友達のいない私が、あんなイデオロギーに染まったようなベシャリに陶酔するとでも思ってたのかしら。

私を売り飛ばすつもりだったわりに、自分の話ばかりしてて、そのくせ私がガードを解いてるとでも思ったんだろうか。

そんなに素直でバカで愚直で考える頭が無いように見えるんだろうか。

のぼせるくらいに喋らせておだててほしかったなあ。

それでもどのみち貧乏なんで払うかねはないけども。

伝えたいことがあれば人は聞くとても思ってるのかね。

気持ちの押し売りじゃねえか。

私の承認欲求をパンパンに満たして頭ぽーっとさせて、なんなら性的なのも付くのか!?くらいの邪推を働かせざるをえないようなくらいはしてほしかった。

それじゃ枕営業か。

 

勧誘するならいくら参加しそうでも、子を産まなそうなのはムダよ。

引きこもりやニートをターゲットにするなんて愚の骨頂。

ヤンキーでしょ、暴走族でしょ、チャラ男でしょ、ギャルでしょ。

合コンしまくってる人でしょ。

クラブでしょ。

知り合いが多くてしゃべりもうまい。

上昇志向でプライドもある。見栄っぱりと言った方がいいかもしれないね。

ちょっとした挫折経験なんかもほしいね。それによって、「大金で見返してやる!」みたいな動機付け。

小説読んでる人間が他人にモノを売れるとでも思ってんのかね。

映画をジトジトと見続ける輩が他人にモノを勧められると想像できるってんだから、

その想像力の貧しさには同情するか呆れるかしかないね。

 

知り合いを一人減らしました、というはなしでした。