次は何を読もう。

姫野カオルコの『ツ、イ、ラ、ク』を読みました。

面白かったです。

エロくてオドロオドロしいんだろうなと思ってましたが、

最初が小学生のいじめのシーンでびっくり。

だんだん成長してくので、小中高といくんかいなと思ってたら、

それまで物語らしい物語がなくて、出来事の並列かいなこれは大変だ、

しかしほっといたらもっと読まないぞ、片付けるためにも読んだろかと、

一気に読む気でいたら引きずり込まれてしまって結局徹夜。

 

主人公たちの年齢だと小学生から34歳くらいまでが小説の中で展開されてて、

ページ数もその分長くて疲れるんですけど、

描かれている時間とか記憶を追体験するには必要な分量だったんだと思い返してから納得できます。

「辰野みゆきちゃん」が最後まで出てくるのが良いです。

出来事の中から小説内の物語が形成される核心となる事件が、

こんなにドラマチックではないにせよ身に覚えのあることなだけに、

切なさやら悲しさがわんわん共鳴してきましたが、

生徒たちのノートやらアンクレットやらにはさっぱり。

中学校なんて前世の記憶くらい曖昧です。

 

時間とか記憶とかサロンとかの主題が、小説にかなり前景化されてるように読めて、

そこはちょっと鼻についたのと、

幾つか、人物の名前を繰り返し出すのが野暮だからか状況が分かりにくいところがあった。

 

小学校から初めてるところと、物語の中心になるカップルに集中してない点が良い。

まさかこの人に恋するなんて!という意外さが味わえるのはそこに至るまでの人物の多さ、選択肢の多さ、恋するようになる珍しくなさがあって初めての効果でしょう。

再会はもうフィクションだから仕方ないけど、あれで人違いのままでも気持ちがおさまらない。

『July, July』もこんな小説なんでしょうか。読みたくなった。

 

読み終わってしまって参った。

次は何を読もう。