惚気を聞く独身者

同じ職場の人の恋愛話を聞いてました。

シリアスに言うとやり捨てられただけで、

主観的に言うと恋に落ちてる人の話でした。

よくやるよと聞いてたら、

別な人が(何人かで聞いてた)、先に帰った人に惚れてることがわかり、

めんどくささ倍増。

良く言うと「青春だなあ」と感慨深く、裏っ返せば「秋だ」と言いたくなってました。

秋だから、でもないけどいいね、惚れた腫れたなんて話できるの。

してえよ。

何もないおかげでもの凄く穏やかです。

天気のいい休日の昼前って感じの何もなさ、動かなさ。水平線を滑る客船が時間をかけて小さくなっていくのを、アイスティーの氷をすすりながら眺めてます。隣では犬が死んだように寝てて尻尾だけが生きて私か蝿の相手をしてくれる。降りかけの雨みたいに途切れることなく人が駅に向かって駆けていくのを羨ましくて観ないでいる。

何もないからこころ穏やかなままで楽です。

つまりは楽しくない。

するってえと買い物とか観劇とかするんだけど、すぐ飽きる。

暇なんだなといつもの結論に至って、酒飲んで映画見て寝ちゃう。

いろんなことに飽きてる気がする。気は変わるけども。

じゃあ惚れたいのかっつうと、そうではない。

ああ、いいなあとは思うけど、それしたい!って憧れない。

 

結婚式を知らない独身者

友達が結婚するんですよ。

今度、母校の一角で挙式で、有難いことに招待されちゃって、

久しぶりの予定なんで浮ついてます。

とりあえず髪切りました。

結婚式に呼ばれた人って、祝儀とそれを渡す袱紗は必要だよね。

どっちももってねえ。

ってことでお金も下ろしました。

ついでに2000円札でもらいました。

お店で使うと「おっ珍しい」とか言われます。

ずっと通ってる古本屋のマスターには「この裏面が良いんですよねえ」と、らしいコメントが聞けて嬉しかったです。

で、結婚式。

前に出たのが一昨年ので、もうどう振る舞っていいかさっっぱり忘れちゃいました。

このあたりに社会性のなさが透かし彫りになります。

若干、ビビってます。

勿論めでたいですよ。

ただ、どんな顔して出席するのかわからない。

以前はほんとに仲いい友達で、めでたい気持ちと久しぶりに会う友達の珍しさで一杯でした。

今度のも友達ですけどね。

ああドキドキしてきた。

だから映画で予習をします。

友達に聞くことができないから(いなくて)、本を読むかググればいいんだけどね。

 

『たみおのしあわせ』を観ました。

2008年の岩松了監督作品、オダギリ・ジョーと麻生久美子が主演。

予想としては『めがね』とか『レンタネコ』みたいなオフビートな(でもないか)コメディだと思ってました。

文化系女子がうけるーって言って笑うやつ。

あるいは淡々と結婚に至る二人を描くのかと。『グッドストライプス』みたいな。

3分の1は合ってましたね。

でもだいぶ違った。

この映画は結婚を舞台にしてはいるけど、結婚の話じゃなかったですね。

個々のエピソードは分かるのに、テーマというとなんつったらいいのかって感じです。

この「何て言ったらいいの」感は、岩松了作演出の『水の戯れ』を見たときにも感じました。

あのときも、恋愛が主軸なんだけど、登場人物がわかりにくい。

それはフィクションの都合上必要な説明とか過度なキャラクター化がなかったからだったかなーと思います。

わかりにくいって言っても、男はわかりやすいんですよ。変化がない。

で、女は何かある。

そういえば『水の戯れ』の菊池亜希子も、『たみおのしあわせ』の麻生久美子も、有り得ないくらい美人で、たぶん浮気か不倫かしてるっぽいぞって描かれ方でしたね。

するってえと何かい、岩松了は美人という謎を描く作家ってことかい。短絡かい。

あと、上手くいきかけたことがダメになるって点も共通してるし、

住んでる所がどうのこうのってのもあったね。

あと、配偶者を亡くしてる。

岩松了論を読みたくなりました。

 

映画の感想

許されざる者』『ワイルドバンチ』『天安門、恋人たち』を観ました。

 

許されざる者』は最後の西部劇と言われる映画で、

なんでかってえと、勧善懲悪とか、あるいは物語の座りがいいように分かりやすく悪役とか善人とかを当て嵌めてない作りになってるから、らしいですよ。

主人公のクリント・イーストウッドが最後に敵を殺しまくるんだけど、それが丸腰のやつを撃ち殺すとかしたり、まあ騎士道精神というかガンマンシップに則ってないというか。でも舞台も時代も設定もまるっきり西部で、ああ、たしかにこの時代の本物だったらこんなでもありうるわな、というリアリティある生々しい西部劇で、倫理的にはたぶんすっきりできない話。

なんですが、めちゃくちゃすっきりしました。耐えるイーストウッドが爆発して悪魔みたいになって殺しまくるのは爽快でした。

印象的だったのは、モーガンが人を殺せなくなってるところ。『蝉しぐれ』だったっけ、屋敷内で切り合おうとしてる侍二人の手がブルブル震えるっていうシーンのある映画。江戸時代の侍って剣術の稽古はしてても実際に人を殺す機会なんてないから、びびっちゃうっていうシーン、ああ確かに人殺すのも殺されるのも怖いよなとリアリティあって好きなんですが、あのシーンって『許されざる者』からなんでしょうか。

映画評で見た、なんで保安官が屋根の修理をしてるかって話が、『グラン・トリノ』の庭掃除のアメリカンな話と繋がってるように思えました。

ぐっときた台詞「何故俺がこんな目に。新築してたのに」

本人には重大事である新築なんですが、それが現実的であればあるほどシーンの深刻さから遠くて滑稽ですらあって好きです。でも気持ちにはリアルなんですよね。殆ど詩だと思いました。幽遊白書の「明日戸川純がテレビに出る」とか言うシーンも同様に好きです。

 

ワイルドバンチ』は、言わずと知れたペキンパー監督作品。

初代「最後の西部劇」だそうです。「最後の文士」なんて言葉もありますね。作家で和服着てりゃいいんでしょ。

最後の銃撃戦が有名ですが、こちらは全く爽快じゃありませんでした。

ぐっときた台詞「奴にはこれが仕事なんだ」

追いかけてきやがってと毒づく強盗仲間に対してボスが言う台詞。悪人なのに倫理的で、多様性

 

天安門、恋人たち』は期待しすぎて失敗でした。

題に天安門ってあるくらいだからもっと天安門に集中した話かと思ってたのに、殆ど添え物。そりゃあ大事なシーンではあるでしょうけれど。

なんで天安門に期待したかというと、数年前の道路占拠デモがあったじゃないですか。あの画像を観てたら学生が勉強してる姿がたくさんあって、こういうところにいる学生がここで出会って恋をすることもあるんじゃなかろうかと興奮してしまって、そんな映画が見たくなってしまって、ググったら天安門が題になってる映画があるじゃない。観たらば、激動の時代を生き抜く恋人たちの話でした。しかもけっこう生々しい。堕胎とか不倫とか。違うの!もっと爽快な恋愛物が見たかったの!観ない奴は馬鹿!

どのくらい爽快かというと『au revoire taipei』くらいのやつ。出会って、行動を共にして、ドキドキはするんだけどそこまで進展はしなくていいんだ。『天安門』はセックスシーン多すぎ。若くて美人で無軌道ならそりゃセックスもしまくるだろうけどさ。

期待するくらいならちゃんとあらすじ読めよって思われるかもしれません。しかしワタクシの好みは全くあらすじを読まないで、最初から最後までどうなるか知らないで観てたいというものなのです。であるからして、ハズレを引く可能性は常人の比ではないことは火を見るより明らか。明らかに非を認めて観賞態度を改めるべきですが、物語の多くを楽しめるので辞めません。

天安門』は天安門事件を扱ったという点と過激な性描写で当局から厳重な処分をされてるので、天安門を主軸の背景にした映画が撮られるのはもっともっと先なんですね。

ぐっときた台詞「彼とは同じ境遇のような気がした。孤独で何も目標がない」

これはもう、私の境遇を言い当てられててハッとしたからでした。

次点では「私には未来がある。目の前は真っ暗でもまだ先がある」

OMSBのthink goodを思い出しました。

 

自分が無敵に思えた

『フリップ、君を愛してる』を観ました。

良かった!

 

かなりコンパクトにまとまってました。

1時間半くらいの話でした。

ざっくり言うと、天才詐欺師が脱獄を繰り返して恋人に愛を伝える、という話。

簡単に詐欺ができちゃうし、脱獄もできちゃう人らしいです、実在の人なんですと。

 

ぐっときた台詞は「彼といると自分が無敵に思えた」ってところ。

無敵に思えるからこそ脱獄やら詐欺やらが成功しちゃうんでしょうね。

佇まいが堂々としてないと詐欺も脱獄もできませんよ。

まあ元から頭のいい人なんでしょうけども。

恋とか愛とかの高揚はやっぱり無敵感ですよね。

素晴らしい瞬間ですよね。

というわけで小沢健二の『強い気持ち強い愛』を聴いて下さい。

 

なんだかんだと2時間くらいの映画ばかり見てきたせいか、

すごくコンパクトにまとまってました。

ずっしりくるというよりは、11時くらいに見始めて、テンションを上げるような映画でした。

テンポも軽快なので、小品のような気さえしました。

もう一本みたくなるような映画。

BGMも良かったです。フォーク・ロックみたいでノリがよかった。

 

事故に遭ったことがきっかけで自分らしく生きると決意する主人公。

もし事故に遭わなかったら奥さんに告白せずにこそこそとずっと楽しんでたんだろうか。

決意してからが早い早い。

素晴らしい。

ジム・キャリーもかっこよかったです。

イエスマン』も、底なしの良いやつっぽさが無理なくて、良いです。

 

男らしさを教えやう

グラン・トリノ』観ました。

カッコ良かった!

 

感想とか『アメリカンスナイパー』の批評とかで触れられてることからして、

もっと戦争トラウマ映画なんだと思ってました。

父親たちの星条旗』を朝鮮戦争に置き換えただけの、もっとストレートにPTSDなんだと思って観たらば、

全く違うんでやんの。

期待が外れて良かったです。

もっとずっと戦争がトラウマな主人公だと思ってました。

フォレスト・ガンプ』の「ベトコーン」って言う元軍人みたいに。

でもさすがに違った。

というか、父親代わりとか男らしさ教室とかがぐっときました。

ラストはてっきり銃をぶっ放してスカッとするんだと思ってました。

公式HPを後で観て、惹句に納得。観る前に目にしてなくて正解。

映像の青緑がかってるのも綺麗でした。

 

男同士の会話の、実践編があまりに常識的でおかしかったです。

 

「アメリカ性」について何か言いたくなる内容でした。

ディランがthings have changedを歌ってるCMってフォードだっけ、とにかくアメリカの車で、

we will build your carって言ってるくらいにアメリカにとってのアメリカは車の国で、

ちなみにそのCMでアジアはケータイを組み立てる国でした、たしか。

映画の題名が車で、

親しむきっかけが車で、

主人公の苗字が車で、

男同士の話題も車で

形見分けも車でした。

さすが車大国。

日本の田舎もきっとこんなだよね。

地方のマッチョな世界は女と車で出来てると思う。

面倒な先輩に捕まっちまうのって日本でもありそう。

さすがに人種的対立までは地方都市じゃないとないか。

先輩の面倒さは日本でも起こりえるリアリティのドラマは移植可能だろうけど、

さすがにラストの立ち向かい方はアメリカンですよね。

あれはやっぱりイーストウッドじゃないとね。

 

そうそう、ヤムヤムを口説かないときの説教の中で、

「地球上で最高の女性と結婚した。生涯で一番の幸せだ」みたいなことを言ってて、

よかったなって呆れました。

アメリカンらしいやと。

 

別に戦争ものに絞ってるわけでもないのに、戦争関連映画を続けて観てしまいました。

 

アメリカン・スピリット、戦争、男らしさという三題噺なら、

グラン・トリノ』も『アメリカン・スナイパー』もできちゃうのではないでしょうか。

 

 

小三治師匠の落語を聞いてきました。

もう夜の部はじまりから殆ど満員でした。

初めて生でみたけど、良かったっっす。

無理だろうけど、もっと空いてるときに観てみたい。

映画の戦争前夜

グゥウッッッッッッドモーニングヴィエトナーーーム

観ました。

米軍放送の型破りなDJが巻き起こす騒動という点では予想通りで、ストーリーに対する不安も政治的なやましさもなく観終われるという安心の内容でした。

坊っちゃん』と同じ構成なんじゃないのもしかして。ぶうといって汽車が止まるとこから始まれば『坊っちゃん』じゃないの。

 

ぐっときた点は、アンドレ3000の相方がトラックに轢かれかけたときに走馬灯を見ての感想「2秒に凝縮しても退屈な人生だ」ってところ。

同感だぜビッグボーイ

 

あと、映画の時代設定がベトナム戦争前夜だってのが予想外でした。

もっとずっと激しい時かと思ってたけど、不穏な状況に不満爆発寸前の兵士のガス抜きになってたということなのかしらね。

テロとか情報統制とか、感慨深いです今は特に。

 

陽気なロビンに危機が訪れると、(自殺したんだよな)って思い出しちゃう。

 

独身者の午後

今日はいい休日にできました。

掃除したし、たまってた洗濯物は洗っちまったし、野菜は買えたし、シラス買えたし、鈴本の夜の部に入れたし、古本屋もまわれた。

 

そうそう、フィルムを出してきたんですけど、

カメラに入れてたフィルムが巻かれてました。

たしかあと2枚位あったんですよ。どっかで撮らないとなと思ってて、どこ行くのにも持ち歩いてたけど、どこでも撮らなかった。

流石にと思って手にとったらフィルムが巻かれてた。

しかも、フィルムをいれて閉じるフタが壊れてた。

もしかして誰かがフィルムを盗んで新しいのに替えたとか?

手間だから、そんなことしないか。

巻いてたの忘れただけだろ。

 

ホントは小三治師匠が聞きたかったんですが、23日は出ないってことで断念。

 

嘉祥の蒸し羊羹を食べてるんですけど、何の都合か切れっ端がちょっとスモークっぽくな香って、羊羹でも少しスモークしてアテにしてみたくなりました。

と思ってググったら、さすがはDPZ、もうやられてました。マズイと。

やってみたいけどね。

 

一人で美味しくても楽しいこともあるもんだ。

 

エーリッヒ・フロムの『愛するということ』を読んでます。

愛され方じゃない、愛し方が問題なんだ、そして愛し方は技術なんだとかが書いてある(と思う)。

 

酒が入るとけっこうなことがどうでもよくなって、生活してるときには(むむ)と思ってたことも、いざ書く段となると、まあまあと収まってしまう。

例えば、でっかい洒落た本屋って楽しみ方がわからない。

蔦屋家電のことです。

見づらい!探しにくい!

オシャレなのはビンビン伝わってきますけどね、おしゃれがどう役立ってるかわからない。

慣れの問題だとは思うし、カップルできたら楽しいんだろうなってのはわかる。

あるいは、古本屋だったらとか、もっとこぢんまりしてたら居心地が良いのに。

行かなきゃ良いんですけどね。